毎年12月から2月の冬の時期に流行するのが風邪ですが、なかでもインフルエンザは高熱や倦怠感に悩まされることがあります。
そして毎年のようにインフルエンザにかかる人もいれば何もなく過ごす方も多くおられます。
そこで今回はインフルエンザについて皆様の立場に立って興味のあることを一情報として発信させていただきます。しかしながら人間の体は十人十色で皆違います。そして私が発信する情報も完全ではありません。あくまでも一医師の意見として参考にしていただければと思います。

1.インフルエンザとは

インフルエンザはウイルス感染症の一種です。
ウイルスというのは単独で生きることができなくて人間の細胞をはじめ何かに寄生して生きています。インフルエンザウイルスの種類はA,B,Cの3種類あります。A型は人間、動物ともに感染します。B型は人間にのみ感染します。C型のほとんどは流行しないと言われています。ただし毎年2回、3回感染する人もいれば、全く症状のない人もおられます。不思議ですね。

2.予防接種は必要か

毎年10月の終わり頃から12月初旬にかけてインフルエンザのワクチンが接種されています。
インフルエンザワクチンは太平洋戦争後に日本に駐留していたアメリカ軍の奨めで製造されるようになりました。最初は郵便局員など公共性の高い仕事をしている人に優先して接種が行われていましたが、流行がなくなることはありませんでした。そこである時期から小学生や中学生に集団接種することで流行を阻止しようという考え方により1962年から集団接種が始まり、1976年から3歳から15歳の子供たちに義務化されましたが、流行は続きました。1979年群馬県前橋市で、一人の子供がワクチンの集団接種後痙攣を起こしました。前橋市の医師会が中心となってワクチンの副作用について国に認定を求めましたが却下されました。これを契機に前橋市医師会は5年間集団接種をやめて、周辺の接種地域と比較調査をしました。通称「前橋レポート」と言われる調査ですが、結論から言うと流行の大きさに差は認められませんでした。(一部統計処理に問題があるのでは?という意見もあります)この結果を受けて1994年小中学校のインフルエンザワクチンの集団接種は中止されました。

3.インフルエンザワクチンの安全性について

ワクチンには「生ワクチン」と「不活化ワクチン」があります。
インフルエンザワクチンは不活化ワクチンです。不活化ワクチンはウイルスが体の中で増殖しないように殺してからワクチンにするのです。またインフルエンザウイルスはウイルス全部をワクチンにすると副作用がかなり多いため、HAというトゲの形のタンパク部分だけでワクチンを作っており、コンポーネントワクチンと呼ばれています。またワクチンは薬事法上劇薬です。上記のごとくウイルスが活動しないように不活化するためにホルマリンを使用しています。ホルマリンは接着剤や防腐剤に使われている匂いのきつい薬品です。シックハウス症候群という化学物質過敏症の原因になり、発ガン性物質でもあります。またワクチン内でカビが生えたりしないように、安全に保存するために防腐剤としてチメロサールという水銀化合物も使われています。なお妊婦さんには防腐剤を使わないものが使用されています。色々矛盾がありますね。

4.インフルエンザに有効な薬はあるのか

インフルエンザが体の中で増殖しないように、医療機関ではタミフル、リレンザ、イナビル、最近ではゾフルーザといわれた薬が一般に処方されております。
しかしながらいずれもウイルスを死滅させるものではなく、あくまでもインフルエンザウイルスの増殖を抑えているにすぎません。インフルエンザにかからないために最も重要なことは身体の免疫力を十分に高めることです。普段から十分な睡眠、適度な運動、バランスの良い食事(和食中心)をとることです。うがい・手洗い・マスクなどもそれほど効果のあるものではありません。改めて自分の体と向き合ってどうすればよいか各人が考えていただきたいと思います。

今回、インフルエンザについて一情報を提供させていただきましたが、皆様の参考にしていただければと思います。日々の体のケアーを怠ることなく笑顔で過ごして頂きたいと思います。

参考文献

インフルエンザワクチンは打たないで
元国立公衆衛生院腋学部感染症室長 母里啓子